2026年1月27日、東証グロース上場の「売れるネット広告社グループ(9235)」が、暗号資産回収分野に関する戦略的業務提携を発表しました。
提携先は、世界78か国で展開されている暗号資産解析プラットフォーム「CryptoDiver(クリプトダイバー)」。そして、実務を担うのは同社の連結子会社「Bitcoin Savior」です。
今回のリリースで強調された数字は、非常にインパクトがあります。
約10,340BTC
日本円換算で約1,447億円相当(※1BTC=約1,400万円換算)
この“1,447億円規模”という表現が市場の注目を集めていますが、果たしてその実態はどうなのでしょうか。
提携の中身は「未解錠ウォレットの独占紹介」
今回の提携は、CryptoDiver(クリプトダイバー)に登録されている未解錠ウォレット案件を、Bitcoin Saviorが独占的に紹介されるという内容です。
暗号資産の世界では、パスワード紛失や秘密鍵の喪失によってアクセス不能になるケースが少なくありません。いわゆる「休眠暗号資産」です。世界全体では“数兆円規模が失われている”とも言われています。
CryptoDiver(クリプトダイバー)には、そうした未解錠案件が既に登録されており、その総額が約10,340BTCにのぼる、というのが今回の発表の核です。
Bitcoin Saviorは、これらの案件を解析し、回収に成功した場合、回収額の40%を成果報酬として受け取るモデルになります。
成功報酬型で、在庫も持たず、原価率も低い。理論上は非常に魅力的なビジネスモデルです。
しかし「1,447億円」は売上ではない
ここで冷静に整理しておきたいのは、この1,447億円という数字は“確定収益”ではないという点です。
あくまで、
- CryptoDiver(クリプトダイバー)内に登録されている未解錠ウォレットの総額
- 現時点での推計値(BTC価格変動あり)
であって、実際に回収できる保証がある金額ではありません。
このビジネスの本質は、「どれだけ回収できるか」にすべてがかかっています。
仮に、登録案件のうち1%を回収できたとするとどうでしょうか。
1,447億円の1%は約14億円。その40%が成果報酬であれば、約5.6億円です。
もしこれが安定的に積み上がるなら、事業としては十分にインパクトがあります。ただし、回収成功率が何%なのかは現時点で明示されていません。
この“成功率のブラックボックス”こそが、最大の注目ポイントと言えるでしょう。
技術力と「世界1位」の肩書き
リリースでは、技術力の高さも強調されています。
- hackthebox.comで2017年に世界1位
- OSCP/OSWEなどの難関資格保有者との連携
- 上場企業グループとしてのガバナンス体制
暗号資産回収の分野は、詐欺的な業者が紛れていることも事実です。その中で「上場企業グループ」という肩書きは、一定の信頼材料になります。
一方で、リリースには非常に重要な一文もあります。
現在、代表取締役が全案件を対応しており、処理能力に限界があるため、今後3年間の連結業績への影響は軽微と考えている
これは非常に示唆的です。
つまり、
市場は大きい。
だが、現状の体制では大量処理は難しい。
会社自身がそう認めています。
この一文は、誠実な開示とも言えますが、同時に“スケールの壁”を示しているとも言えます。
CryptoDiverにとっての意味
今回の提携は、CryptoDiver(クリプトダイバー)にとってもプラス材料になり得ます。
- 上場企業との提携による信頼性向上
- 技術的裏付けの強化
- 高額案件の優先対応
ただし、利用者として注意すべき点は変わりません。
暗号資産回収サービスを利用する場合は、
- 成功報酬の割合
- 手数料体系
- 個人情報の取り扱い
- 法的リスク
を必ず確認する必要があります。
「回収成功時40%」という数字は決して小さくありません。高額案件であればあるほど、その意味は大きくなります。
投資テーマとして見るなら
株式市場の視点で見ると、暗号資産・Web3というテーマ性は強く、材料株として短期的に思惑が入る可能性はあります。
しかし中長期では、
- 実際の回収実績の開示
- 技術者増員など体制強化
- 具体的な売上貢献の数字
が出てくるかどうかが評価の分かれ目になるでしょう。
数字のインパクトは大きい。
しかし、現時点では“構想段階の拡張”という印象も否めません。
総括:夢は大きいが、まだ始まったばかり
今回の発表は、確かに夢のあるニュースです。
世界中に眠ると言われる莫大な休眠暗号資産。その一部でも回収できれば、ビジネスとしての可能性は非常に大きい。
一方で、現状はまだ少人数体制。業績への影響も「軽微」と明言されています。
重要なのは、今後どれだけ“実績”を積み上げられるかです。
1,447億円という数字に目を奪われるのではなく、
「何BTCを、実際に回収したのか」
この具体的な数字が出てきたとき、初めて評価は定まります。
CryptoDiver研究所としては、今後の回収実績や体制強化の動きを引き続き追っていきます。

コメント